多くのアメリカ人やアメリカに駐在している方々おすすめの英語絵本をレベル別に20タイトル (シリーズ含む) 選びました.このコラムでは,総語数や年齢により分類するのではなく,「文章の長さや簡単さ」,「繰り返し (repetition) の有無」,「ストーリーの有無や題材」などの読みやすさを総合的に考慮してレベル分けしております.ネイティブではキンダーレベルでも,英語を勉強しはじめた子供達には非常に難しく,多くの子供達は嫌いになっていまうことでしょう.大人の方も同様で,まずは自分の英語レベルにあった絵本からスタートしてみることをおすすめします.特に,学生時代に英語を勉強して以来英語から遠ざかってらっしゃる方の多くは,「短いストーリーの本に挑戦」くらいからはじめられることをおすすめします.それでも,「知らない単語が多すぎる」や「意味がわからない」と言われる方も結構いらっしゃいますよ.
今回紹介したタイトルはいずれもYouTubeなどでネイティブの読み聞かせがアップされているようですので (現在),読み方や発音に困ったときはそれらを参考にされてみてください.お子さんと一緒に見られてもきっと楽しめますよ.
「ねこってこんなふう?」の原著です.
猫が旅をしている間にいろいろな生き物に出会います. 「They saw a cat.」. 彼らがどのように猫を見ているかが彼ら目線のかわいい絵で描かれていて, 大人も「なるほど」と思える作品です.
本文ではシンプルで簡単な短いフレーズが繰り返し使われていますので (repetition),何度も読み聞かせているうちに,子供たちは,次はどの生き物だろうと予想しはじめます.すると,子供たちの口からフレーズが自然に出てくるようになります.
Randolph Caldecott Honor Book (2017年) です.
「くまさん くまさん なにみてるの?」の原著です.
「They All Saw A Cat」と同様,「Brown bear, Brown bear, What do you see?」のお決まりフレーズで始まり,「I see a ・・・・ looking at me.」のシンプルで簡単な短いフレーズが繰り返し使われています (repetition).本作では登場する生き物がエリック・カールによりカラフルに描かれており,視覚でも色の単語も学ぶことができます.
「おやすみなさい おつきさま」の原著です.
アメリカではbedtime bookとして大人から子供までみんなに人気の作品です.
大きな緑の部屋にいろいろな家具や物があります (There was a ・・・).それらみんなにおやすみを言っていく内容です.夜寝る前の読み聞かせ用としておすすめです.
アメリカで大人気のPete the Cat (ねこのピート) のシリーズです.
元はというと,James Deanの描いた猫のPete (ピート) の絵を見てEric Litwinが作った歌が絵本になったもので,第1作目が「Pete the Cat: I Love My White Shoes」です.その後,「Pete the Cat: Rocking in My School Shoes」,「Pete the Cat and His Four Groovy Buttons」と「Pete the Cat Saves Christmas」が出版されました.いずれもHarperCollins Publishersの公式サイトより歌を聴いたり,ダウンロードもできますので,お子さんやお孫さんと聞いてみてください.そして一緒に歌いながら絵本を楽しんでください.「I love my white shoes ~, I love my white shoes ~♬ 」.
「Pete the Cat: I Love My White Shoes」では,Peteがお気に入りの白い靴を履いて歩いていると,積まれたイチゴやブルーベリー,そして泥の水溜まりなどに入ってしまい (Pete stepped in a …),いろいろな色に靴が変わってしまいます.What color did it turn his shoes? Did Pete cry? Goodness, No!
シンプルで簡単な短いフレーズが繰り返し使われています (repetition) ので,リズムに乗って絵本を楽しむことができます.
下の作品はいずれもErick Litwinの歌と一緒に楽しめる作品ですので,これらもおすすめです.
マザーグースの「There was an old lady who swallowed a fly! (ハエをのみこんだおばあさん)」は有名ですが,本シリーズはLucille Colandroが「There was an old ladyシリーズ」として書き上げた作品です.日本ではあまり有名ではないようですが,アメリカではかなり人気で,読み聞かせの時に親子が一緒に楽しんで読み聞かせできると好評です.
例えば「There was an old lady who swallowed some leaves!」では,おばあさんがleaves, shirt, pumpkin, pole, pants, ropeそしてhayとどんどん不思議なものを飲み込んでいき,最後は・・・ (死にませんよ).1ページあたり1 - 4行の短い文章とそのシーンの絵から構成されており,簡単ないくつかのフレーズが繰り返しでてきますが,単に繰り返しているのではなく,なぜそれを飲み込んだかが説明されており,ちゃんとオチがあってストーリーになっています.ですので,絵本デビューのお子さんへのプレゼントなどにピッタリです.
本シリーズでは「snow (この作品ではa cold ladyが飲み込む)」 から始まり,「chick」, 「leaves」, 「clover」, 「books」, 「frog」, 「fly」など沢山のタイトルがありますが,どれもおすすめですので,気になるものから読んでみてください.ペーパーバックのサイズはおよそ縦 × 横 = 25.5 cm × 20.5 cmと十分な大きさで,読み聞かせにもってこいです.お子様も「なんで~?」ってなりますよ.
ゾウのGeraldとブタのPiggieの掛け合いでストーリーが展開していきます.会話は吹き出しスタイルで表現されており,シンプルで簡単な短いフレーズが使われています.また,2人の掛け合いでフレーズが何度か繰り返さることが多く,それらのフレーズはそのまま日常の英会話で使われるそのままの表現ですので,英語を学び始めたお子さんにもおすすめです.
例えば、「There is a Bird on Your Head!」では,PiggieがGeraldに「There is a bird on your head」と教えてあげると,Geraldは「There is a bird on my head?」と聞き返します.また,2人の掛け合いとともにそれぞれの感情がキャラクターの絵で絶妙に表現されていますので,直感的にフレーズの意味を推測できるのではないでしょうか。
夜お休み前に親子や兄弟・姉妹でGeraldとPiggie役をして遊んだりと,楽しみ方はたくさんあり,台本のように2人の会話を全部覚えてしまうくらい読んでしまうお子さんもおられますよ.
どれにするか迷われる方は,まずは「There is a Bird on Your Head!」や「Waiting Is Not Easy!」などからスタートしてみてはいかがでしょうか.
孵化したヒナが,初めて見た動くものや音を自分の親だと思う習性である刷り込み (imprinting) をコミカルに描いた絵本です.小鳥の母親が留守の間に巣の中の卵が孵化してしまいます.その子はまだ飛ぶことができないので,歩いて母親を探しますが母親を見たことがありません.途中でいろいろな動物やボート、飛行機に出会い,「Are you my mother?」.
本文は1ページにかわいい絵と1 - 4行の短い文章で構成されており,とても読みやすいので,はじめて一人で英語絵本に挑戦するお子さんにおすすめです.
水玉模様のヒョウは他の動物たちと一緒に動物園に住みたがっていますが,断られてしまいます.そこで,なんとか動物園に入ろうと2人の子供の前で水玉の色を変えたり,いろいろなものにつけたり,飛ばしたり,いろいろ特技をみせます.しかし、最終的には・・・・,気に入ったみたいですね.
こちらも本文は1ページにかわいい絵と1 - 4行の短い文章で構成されており,とても読みやすいので,はじめて一人で英語絵本に挑戦するお子さんにおすすめです.
Eric LitwinのPet the Catは4作でおしまいですが,その後JamesとKim夫婦がPete the Catシリーズをどんどん作成し,どれもアメリカの子供たちに大人気です.
本シリーズでも本文は1ページにかわいい絵と1 - 4行の短い文章で構成されており, "Pete has to start over.","We had a great day with you","Pete puts on his hat, boots, and mittens","I can't wait to get there","Do you want some help?"など、日常でよく使う表現が多くでてきます.また,"awesome"など日本の学校ではなかなか習わないにもかかわらず,多くのアメリカ人が日常で使う表現も多くでてきます.
たくさんタイトルがありますが,どれもおすすめですので気になるものから読んでみてください.また,いくつかのタイトルはHarperCollins Publishersの公式サイトから動画にアクセスできますよ.
非常にシンプルで簡単なフレーズのみで作成されています.「up - down」,「in - out」,「over - under」,「on - in」,「around」の単語が頻出し,本作の絵と合わせてみることで,機械的に使い方を覚えるのではなく,その単語の持つニュアンスを知ることができるはずです.他にも「big - little」や「red」,「blue」,「green」や「yellow」などの色もたくさんでてきます.読み聞かせにおすすめです。
この絵本はアメリカで読んだことがない子供はいないくらいの有名で人気の作品で,Dr. Seuss (ドクター・スース) の絵本の中でも定番の絵本です.オバマアメリカ元大統領がイースター祭の時に子供たちに読み聞かせをしている映像を見たことある方もいるのではないでしょうか.
本作では,全部で以下の50種類の英単語を使用して構成されています.
簡単な短い文章で構成されており,関連性のある単語や韻を用いて文章の繰り返しが多いので,英語の勉強にピッタリです.「I do not like them in a house. I do not like them with a mouse. I do not like them here or there. I do not like them anywhere」.けど,緑のタマゴとハムって,不気味ですよね.
もう1つDr. Seuss (ドクター・スース) の作品からのチョイスです.
FoxとKnoxが登場し,「Fox、Box、Knox、Socks」や「Chicks、Bricks、Blocks、Clocks」など,ひたすらrhyming wordsがでてきますので,ぜひ声に出して読んでみてください.「Who sews whose socks? Sue sews Sue's socks」,「When beetles battle beetles in a puddle paddle battle and ....」.Google検索するとYouTubeでネイティブの方の音読がたくさん見つかりますので,真似してみてください.あと,「in」や「on」の使い方も学べますよ.
「かいじゅうたちのいるところ」の原著です.とても有名な作品ですので,和訳版を見たり読まれたことのある方も多いはずです.
子供のマックスがオオカミの着ぐるみを着ていたずらをしていると,お母さんに怒られて「ごはん抜き」にされ,さらに部屋に閉じ込められてしまいます.すると部屋がみるみるうちに森となり,ツタが屋根を這い・・・.ファンタジーの始まりです.
語数も少なく,とても読みやすいですし,これぞ絵本といった感じの作品です.おすすめです.
村上春樹さん訳の「おおきな木」の原著です.
リンゴの木と男の子のお話で,男の子が小さい頃はリンゴの木に登ったり枝にぶら下がったり木陰で寝たり.リンゴの木は幸せでした.しかし,男の子はどんどん成長していきます.リンゴの木は男の子にできる限りのことをしてあげようと自分の・・・最後は・・・,ジーンときます.是非お子さんと一緒に読んでください.
「愛」をテーマにした作品で,本当におすすめです.
「環境破壊」をテーマにした作品です.本作を原作とした映画「ロラックスおじさんの秘密の種」が2012年に公開されています.Lorax (ロラックス) の日本語吹き替えは志村けんさんでした.
ある少年が町はずれの荒野を訪れ,そこに住んでいるOnce-ler (ワンスラー) を訪ねます.少年はOnce-lerにお金を払い,どのようにしてLorax (ロラックス) がどこかえ行ってしまったのかを教えてもらいます.
昔々,Once-lerはすばらしい台地に降り立ち,「Truffula Tree」を発見します.その房はシルクより柔らかく,その香りは新鮮なバターミルクのようで,あらゆるものに使用できます.これこそ彼が探し求めていたものでした.Once-lerはTruffula Treeを1本切り倒し,それをもとにThneedというものを編みます.するとLoraxが切り株から現れ,やめるように説得しますが,Once-lerは聞く耳を持ちません.そのうち,それがバカ売れし,どんどん店を大きくし,効率よくThneedの材料を集められるように機械を開発したりと,どんどんTruffula Treeを切り倒していきます.最後の木を切り倒した時には・・・.
おすすめです。是非読んでみてください.
クリスマスイブの夜,少年がサンタのソリのベルの音を聞こうと静かにしていました (そわそわが伝わってきます).すると,外から音が聞こえてきましたが,お友達が言っていた音とは違い,蒸気を吐き出す音や金属がきしむ音でした.汽車が家の真ん前に止まっていました.それから・・・・ファンタジーがはじまります.
大人になって読んでも子供の時と変わらずワクワクしますね.特にクリスマスシーズンにおすすめです.
本作はRandolph Caldecott Medal Winner (1986年) です.
イギリスの子供たちは絶対に読んでいるお話です.魔女と猫が登場し,ほうきで空を飛んでるときにいろいろなものを落とし,探してくれたときにであった仲間をほうきに乗せてあげて飛んでいるうちに「The broom snapped in two」.さて・・・.読み聞かせにおすすめです.
ある日カラーモンスターがスッキリしない気分で起きました.どうも感情 (emotions) がうまくコントロールできていないようです.そこで,それぞれの感情を容器に入れて分けるように提案され,やってみることにします.Happiness,Sadness,Anger,FearそしてCalm.それぞれ色があります.最後にでてきた色は何の感情なのでしょうか?
1ページあたり2-5行程度で簡単な文章ですので,すこし英語に慣れたお子さんに読み聞かせてあげるのにおすすめです.色が及ぼす心理効果はよく耳にしますが,この本では感情を色で表しています.
まさに女の子のバイブルです.大人の方にも是非読んで頂きたい作品です.なにか「忘れていたものを取り戻す」感じで「がんばるぞ」って気になります.友人へのプレゼントなどにもおすすめです.
男の子用には「Dear Boy」があります.いずれもおすすめです。
鏡で自分のおしりを見た少年が,自分のおしりが割れていることに気づいた.どうして?プールの滑り台を滑った?それとも手すり?新しいおしりはどんなおしりにしよう.なかなかいいおしりがないな~.すると,お父さんのおしりも・・・これって感染するの?家族で一緒にお風呂にはいる文化と一人でシャワーの文化,へぇ~と考えさせられます。
読み聞かせでお子様も大爆笑間違いなしです.
英語絵本を購入するにあたり,ストーリはともかくまずは1ページあたりどの程度の数の文章や長さのフレーズから構成されているのか,中身を見ないとわからないことが多いですよね.書店で実際手に取って選ぶのではなく,ネット通販で購入するとなるとなおさらです.販売店の中には代表的なページをアップしているところもありますが,絵本の構成上,購入後にイメージと違うなんてこともあります.
しかし,小学校から英語の授業が始まり,より英語が身近となってきた今では一昔前と違い,英語絵本に関する書き込みや紹介サイトなどがたくさんあり,今や有名どころのタイトルではほとんどがGoogle検索で購入前にレビューできます.中には一部または全文を翻訳付きでアップされている方もおられます.ですので,どうしても購入前に内容をレビューされたい方は,検討中のタイトルをGoogleで検索されてみてはいかがでしょうか.
英語のタイトルでキーワード検索すると,日本のサイトだけでなく海外のサイトも多くヒットしますので,いろいろ情報が手に入りますよ.もし翻訳付きのサイトがあれば,自分が読んだ後に自分の感じ方と同じかどうか確認されてみるのも面白いと思います.新たな発見があるかもしれませんよ.また,読み比べ (同じタイトルで日本語と英語のものを読んでみる) として紹介されているタイトルも多くありますし,日本語版を読んだことのある人でも英語版を読むと,また違うワールドでその本を読むことができると思います.これらは英語絵本を読む楽しみ方の1つです.
「英語絵本の種類・サイズ・楽しみ方」のコラムでも書きましたが,お子様は一緒に英語絵本を読むことが大好きです.ですので,自分の発音をそこまで気にせず,一緒に楽しむことが大切です.一方で,いくら絵本とはいえ,どうやって発音するのかわからない単語がしばしばでてきます.rhyming wardsが満載の本などは,ネイティブがどのようにそのフレーズを読み上げているか気になることありますよね.もちろんCD付きのものを購入するのもいいですが,上記の英語絵本の内容をレビューするときと同様,本のタイトルを入れると読み聞かせの動画がYouTubeなどでアップされています.ネイティブの方が普通に読んでいるものや本格的な構成のもの,その他結構なまりの強い方が読んでいるものなどいろいろ無料で見ることができます.不安であれば,お子さんと一緒にそれらを見て,なんとなく耳で覚えてから一緒に読んだり読み聞かせをするというのはいかがでしょうか.けど,きっとお子さんの方がすぐに耳で覚えてしまうでしょうね.
ちなみに,皆様はいつ読み聞かせをされますか?子供を寝かしつける際に読み聞かせをされている方も多いのではないでしょうか.その場合,電子書籍を購入してタブレットで一緒に英語絵本の読み聞かせをしますか?ブルーライトで目が疲れることもありますし,子供がなかなか寝付けなかったりと,逆に睡眠の妨げになることもあるようです.もちろんスマホもそうですね.せっかくの就寝前ですから,スマホやタブレットなどは置いて,やはり本で読み聞かせをされてみてはいかがでしょうか?どうしてもネイティブの発音を子供に聞かせてあげたいのであれば,絵本をみながらYouTubeなどの音声のみで初めてみるのもいいかもしれません.子供はすぐに真似をして練習し,すぐに同じスピード読めるようになりますよ.